(質問のつづき)
すると、抹消血管の改善や低血圧症に効果があるなど書かれておりました。一方で除去率はオンラインHDFに比べて劣るという情報もありました。 この透析方式はこれから普及していくのでしょうか? また、メリットとデメリットについて、ご見解をお聞かせいただければ幸いです。
[回答]
●HDF(血液濾過透析)について
まずHDF(血液濾過透析)ですが、通常の血液透析中に大量の補液(水分の追加)を行います。
お体に大量の水分が入りますので、その分除水を増やし、ちゃんとドライウェイトで終了するように設定します。
つまり、大量補液+大量除水をする治療です。
そうすると、通常の血液透析では除去されにくい分子量の大きな尿毒素(中分子と呼んでいます)が除去されやすくなり、貧血・骨関節障害・下肢のイライラ感などに好ましい効果があることが知られています。
一方、栄養分も除去されやすくなりますので、注意が必要です。
●I-HDFとは
御質問にあるI-HDFは、このHDFを間欠的に行うものです。
例えば、血液透析を15分間行ったら、HDFを10分間行い、次に血液透析に戻して15分間、さらにHDFということを繰り返すのです。
この治療方法によって、末梢の血流がよくなったり、透析で血圧が低くなり過ぎないようにする効果があることが報告されています。
●I-HDFのメリットとデメリット
I-HDFのメリットは、HDFで除去されてしまう栄養分(特にアルブミンというタンパク質が重要です)が除去されにくくなることや、上記のように、血圧が下がりにくくなるなどが上げられます。
デメリットは、I-HDFを行う器械がまだ普及していないこと、HDFに比べると、中分子の除去が劣ることなどが考えられます。
●I-HDFは普及していくのか
今後普及していくかどうかは、何とも言えないのが現状です。
I-HDFを行うためには、それが可能な器械が必要です。私どもの施設でも、全台でI-HDFができるわけではありません。
また、最近は通常のHDFでもアルブミンなどの栄養分が除去されないように工夫されたヘモダイアフィルター(人工腎臓)が使われるようになってきています。
そのようなことから、私どもの施設ではI-HDFができる器械を使っていても、治療方法は通常のHDFで行っている患者さんが多くいらっしゃいます。
今後、何か新しい知見が出てきて、I-HDFのさらなるメリットが知られないと、HDFほどの普及は難しいのではないかと思っています。
患者さんが、まだお若い方の場合、中分子を十分に除去した方がよいと思いますので、現時点では通常のHDFの方をお勧めしたくなります。
なお、I-HDFは末梢血流を改善させると言われていますが、閉塞性動脈硬化症に対して、HDFよりも優れた治療法なのかどうかは、きちんと比較された研究はまだ行われていないと思います。
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