(質問のつづき)
2つの薬の違いと、本当に石灰化されるものか教えてください。
[回答]
●リンのコントロールと薬の主成分について
リンの値は6以下にコントロールすることが大事です。
食事療法だけではリンの値を低下させることは難しいことがよくありますので、リン吸着剤と呼ばれるお薬を使うことが少なくありません。
カルタンの主成分はカルシウム、ホスレノールの主成分はランタンで、これらの主成分がリンを吸着します。
●カルシウムリン積と石灰化について
さて、石灰化についてですが、リンとカルシウムを掛け合わせた値(カルシウムリン積と呼びます)が高い方が、石灰化を生じやすくなることが知られています。
例えば、リンが5.0で、カルシウムが9.0の場合は、カルシウムリン積は45となります。
この値を低めにしておきたいのです。
●薬によってカルシウムリン積の上昇が変わる
上に書きましたが、カルタンの主成分はカルシウムであり、リンとくっつかなかったカルシウムは腸から吸収されることがわかっています。
そうすると、血液中のカルシウムの値が上昇して、その結果、カルシウムリン積が上昇します。
このことから、リンを下げるお薬としては、カルタンはあまり増やさない方がよいという考え方が主流になっています。
透析医学会のガイドラインでも、カルタンは3000mg以内にするように勧められています。
ホスレノールはその成分にカルシウムが含まれていませんから、カルシウムリン積を上昇させる危険が少ないことになります。
どのようなお薬にもメリットとデメリットとがありますから、カルタンが悪くて、ホスレノールの方がよい、と決められるわけではありませんが、少なくとも石灰化に関してはホスレノールの方がお勧めできると思います。
Comments