(質問のつづき)
現在はバルーン治療やステントといった治療をしてはいますが、ABI値は低い値のままで、日中もよく痛がりますし、夜中は冷たさと痛さで眠れないと訴えてきます。
[回答]
3年前とは異なり、現在のお父様は安静時でも痛みが強いようなので、「重症虚血肢」と診断されます。
このような場合は、バイパス術やバルーンによる治療の適応となります。
すでにお父様もバルーンでの治療はお受けになっているとのことです。
こういった治療をお受けになっても痛みが改善せずに強いままの場合には次のような対策が試みられます。
1)LDLアフェレーシス
血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い方など、保険適応に制限がありますが、血液透析と似たような専用の機械を使って、血液中のLDLコレステロールを除去する治療法です。
これによって、足の痛みが軽減したり、下肢の血流が改善することがあると知られています。
2)腰部交感神経節ブロック
主に麻酔科の医師が行う治療です。
腰部交感神経節は腰の骨(腰椎)の周囲にあって、これを麻酔薬によってブロックすると、下肢の血流が増加します。
痛みに関しては、軽くなる方とあまり変わらない方とがいますので、100%有効と言うわけではありませんが、試みる価値はあるかと思います。
3)人工炭酸泉浴
私たち偕行会グループで積極的に取り組んでいる治療法です。
炭酸ガスがたくさん溶け込んでいるお湯に足をつけていただき、場合によっては全身浴を行うことで、足に行く血流が増えるようにする治療法です。
とても簡単な治療法ですが、血流がよくなることで、かえって痛みが強くなる方がいらっしゃいますので、お試しになってみて、楽になるかどうかを確認することが大切です。
4)内服薬による鎮痛
どうしても痛みが治まらない場合には鎮痛剤を使用します。
虚血による痛みは強いですから、一般的な痛み止めでは効果が不十分なことがしばしばあります。
このような場合には、麻薬(あるいはそれに類する薬剤)を用いることもあります。
足の虚血による痛みは大変つらいものです。
上に書きました治療法には、それぞれ利点と欠点がありますので、どのような治療がお父様にとって一番よいのかは、主治医の先生とよく相談をされてお決めになって下さい。
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