(質問のつづき)
腹膜透析に含まれている何を用いて代謝性アシドーシスというものを是正するのでしょうか?
[回答]
●腎臓が悪くなってきた時に血液が酸性に傾く原因
まず腎臓が悪くなってきた時に血液が酸性に傾く原因を簡単に説明させて下さい。
血液はpHでいうと7.35と7.45の間という、きわめて狭い範囲に調節されています。
このpHを調節する臓器が腎臓と肺です。
代謝性アシドーシスですが、重炭酸イオン(アルカリ性です)の低下によって生じるものです。
しかし、生体内では酸の蓄積によっても血液が酸性に傾きやすくなることを、まずご理解ください。
腎臓では酸(水素イオン)を排泄することにより血液を弱酸性に保とうとします。
水素イオンの排泄は主としてアンモニウムイオンの形で行われています。
重炭酸イオンがオシッコの中に捨てられないように、再吸収という形で体内にとどめようとすることも大切な機能ですが、酸(水素イオン)の排泄による調節には及びません。
●透析治療が終了してから次の透析治療までの血液のpH
血液透析の場合、pHの調整は酢酸や重炭酸イオンによって行われます。
ご指摘のように、血液透析は週に2回か3回の治療が一般的です。
治療中には重炭酸イオンが補充される(透析液から血液内に移動する)ことにより、血液のpHは若干アルカリ性に傾き、治療終了後から、次の治療(翌々日などになります)までの間に、血液はゆっくりと酸性に傾いていきます。
ですから、血液透析をお受けになっている方の血液のpHは、透析治療直後のpH 7.5程度から、次の透析治療直前のpH 7.3前後までの間を変動することになります。
●腹膜透析での血液のpHの調整について
さて、腹膜透析ではどのように血液のpHが調整されているか?ですが、一番大きな因子はアルカリ化剤として加えられている乳酸が血液中に吸収されることによってなされます。
乳酸は吸収された後に肝臓で代謝されて重炭酸イオンを生じます。
腹膜透析の場合はこのようなpHの変動がほとんど見られませんので、アシドーシスの改善に関しては腹膜透析の方が有利であるとされています。
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