(質問のつづき)
透析治療を受けない選択をしてもいいか悩んでいます。
[回答]
私たち医者は、データが悪くなり腎臓が回復する見通しがなくなってしまうと、すぐに「透析が必要」という話をしてしまう傾向があります。
それは間違いではありませんが、ケアマネージャーの方がおっしゃるとおり、透析治療をしないという選択もあるのです。
●透析治療を受けなかった方
私の経験をお話しさせてください
これまで私が診させていただいた患者さんで、ご本人やご家族の意思・ご希望から透析治療を行わずに看取らせていただいたかたが、5名ほどいらっしゃいます。
この透析を受けなかった方ですが、皆さん静かに(あまり苦痛なく)最期をお迎えになりました。
透析をお受けにならないと、腎不全から水が貯まってしまい、呼吸困難になることがあり、これは大変苦しいものですが、ご高齢の方の場合は食欲不振などから水が貯まらないことがあり、上記のように静かな最期をお迎えになったものと思われます。
反対に、もし呼吸困難が出現してしまえば、当初の方針をかえて、透析治療を開始して、その息苦しさを取り除いてあげなければいけないかもしれません。
●透析治療を受けた方
一方で、5名以外のほとんどの患者さんは透析治療をお受けになったということになります。
透析治療を始めたことで「ご家族が後悔をされた=透析を受けない方がよかった」ということはあまりないように見受けられます。
ただ、これはお母様など透析をお受けになる方の身になって、ということでありご家族の負担は少なくありません。
ご家族の方を含めると「透析を続けることがこれほど大変だとは思わなかった」という声は聞かれることがあります。
できれば、複数のご家族でお母様のお世話をされて、いわゆる「介護疲れ」にならないようにすることが望ましいと思います。
また、レスパイトと呼ばれていますが、ご家族の負担を軽くするために、 たとえば「一時的に入院をしてご家族にお休みいただく」という方法がとれればいいのですが、レスパイト入院を引き受けてくれる病院は多くないのが現状です。
現在、お母様がかかっている病院がどうなのかは、確認されておいたほうがよいと思います。
●お母様のお気持ちを大切に
そして、一番大事なことはご本人=お母様の意思やご希望だと思います。
お母様のご希望をお聞きになっていただきたいと思います。
ご家族の話し合いですが、主治医の先生を交えて行うことができればそのほうがよいと思います。
お母様にとって一番いい選択ができること、ご家族の皆さんが納得できる選択ができることを、心から願っております。
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