[回答]
●インフォームドコンセントについて
言葉として「インフォームドコンセント」は、一般的に使われるようになってきていますが、その意味については解釈が曖昧な部分もあるかもしれません。
私が考えるには、少なくとも「これこれの説明をして、あなた(患者さん)はそれに同意をしたのだから何かあってもあとからクレームを言っても無駄ですよ」といった「クレームをつけられないようにするための説明責任」という意味での、一方的で冷たい言葉ではないと考えています。
インフォームドコンセントという言葉が使われる前から、
「病状や、今後の治療方針や、その方針以外の選択肢や、推定される今後の見通しなどを説明をすること」
は、医師の役割として当たり前のことでした。
また、その一つ一つの内容に対して、患者さんやそのご家族が質問をされたり、同意や拒否をされることも、患者さんの当然の権利としてありました。
ところが、医師の中には「よらしむべし、知らせるべからず」などという古くさい、まさに化石のような言葉もあって、当たり前のことが当たり前に行われていなかったことが少なからずあったというのも、悲しい現実ではあります。
●ネットでの情報収集や質問をすることについて
本サイトでもお話しているように、ネットで得られる情報がすべて正しいわけではありません。
主治医やスタッフに相談することを大切にしていただきたいと考えています。
ただし、ネットに限らず、いろいろな手段を用いて情報を収集され、それをご自分やご家族がお受けになる治療の参考にすることは、決して悪いこととは思いません。
また、そのようにして得た知識や情報を主治医にぶつけて、質問や要望をされることも、もちろん構わないと思っています。
私自身が診た患者さん、または現在、診ている患者さんやそのご家族にも、いろいろな情報を手にいれて来るかたがいらっしゃいます。
そういう方とお話をしていると「やりにくい」というよりは「熱心に自分の(家族の)病気と闘おうとしている」というように思えて、むしろ、こちらが勉強になったり、姿勢を正されたりすることも少なくないのです。
もちろん間違った情報や、その患者さんには向かない治療方法の情報を仕入れてくる方もおみえです。
その場合には、私が主治医としてきちんと説明をするようにしています。
だまって医者の方針に従え、という時代ではなくなっていると思います。
しっかりとコミュニケーションをとって、患者さんが十分に納得され、相互理解のもとに治療をすすめていければと思います。
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