(質問のつづき)
除水量の設定の入力ミスは良くあることなのでしょうか?また、透析が終わった後にコンソールには除水量は表示されるのでしょうか?何か他の理由が考えられれば教えていただきたいです。
[回答]
●機械精度と誤差、メンテナンスの重要性
以前は機械の精度の問題から、プラスマイナス0.3kgの除水誤差は出ることがありましたが、最近の機械は精度がよくなり、ほとんど誤差は生じないようになりました。
今回のお母様の場合は、0.4kg残ってしまったことになりますから、誤差としては大きいと考えます。
ただし、機械ですので問題がゼロというわけにはいきません。
このために、機械を管理する役割を担っている臨床工学技士(CE)が日頃からメンテナンスに力を注いでいます。
また、お母様のように体重が設定通りに行かなかった場合には定期メンテナンス以外に、臨時でその機器のチェックも行います。
●透析治療の流れから考えられること
その日の治療で何kg除水をするのかは、透析前の体重から計算をします。
まず透析前の体重がきちんと測定されているかどうか?から考える必要があります。
透析治療の全体の順序としては、体重測定の次に、コンソールにその日の除水量を入力します。
この入力作業は、透析室のスタッフが入力する施設(つまり人間が手で入力する)と、体重計と各コンソールがパソコンを介して接続されていて、体重を測定すると自動的にコンソールでの除水量設定ができるシステムとがあります。
人が入力しても、パソコン経由で除水設定をするにしてもミスは起こりえますが、パソコン経由での設定間違いは人と比べれば生じにくいものと考えています。
●透析中のお食事や点滴
透析中にお食事など、食べたり飲んだりする場合は、その飲食量の重さを測っておく必要があります。
また、治療として点滴などを入れることがあります。
この場合もその重さを計算に入れておかないと、透析終了時の体重が設定通りにいかないことになります。
●HDF(血液濾過透析)
同じく治療中に誤差の原因となるものとして、HDF(血液濾過透析)があります。
通常の血液透析(HD)と比べて、HDFではわずかな機械誤差でも除水量の違いに大きく反映されることがあります。
●コンソールへの除水量の表示
ほぼ全てのメーカーのコンソールで表示をされるようになっています。
治療中の段階でも、現在どのくらい除水が進んでいるかが表示されますので、透析の途中のチェックでも除水が設定通りに行われているかどうかの確認が可能です。
以上のように、除水が設定通りでなかった場合には考えられる要因がいくつもあります。
通院されているクリニックでは、これらの点を確認された中で原因がわからなかったのではないかと思われます。
もし、万が一同じような除水量の誤差が生じるようであれば主治医の先生や技士長(臨床工学技士)と相談をして、対策を講じていただくようにして下さい。
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