(質問のつづき)
胃の内視鏡では問題ないと言う結果でしたので、出血部位は大腸か直腸ではないかと意見が出ています。大腸内視鏡の場合胃は大量の下剤を飲むわけですが、透析患者の場合はあまりお勧めできないといわれていますが、ご意見をお聞きしたいと思います。また、バリウム検査についてもご意見をお聞きしたいです。
[回答]
●大腸癌が増加傾向にあるので胃だけでなく大腸の検査をお勧め
まずは、大腸の検査を行うことを検討されていることはとても良いことだと思います。
透析をお受けの方でも、腎臓の悪くない方でも、日本では大腸の病気、とりわけ大腸癌が増加傾向にあります。
ですから、消化管出血が疑われる場合には、胃の検査だけではなく大腸の検査もお勧めしています。
●透析患者様の下剤の服用について
さて、ご質問の通り、大腸の検査の前には大量の下剤を服用し、腸の中の便をすべて出して、腸を空っぽにしておく必要があります。
これは、内視鏡であってもバリウム検査であっても同じです。
便があると、それが邪魔になって病変を見落とすことがあるからです。
検査用の下剤は、通常の下剤に加えて、ニフレックと呼ばれる液体を2リットル近く飲んでいただくことになりますが、この液体は吸収されませんので水分制限のある透析患者さんでもお飲みいただくことができます。
●バリウムよりも内視鏡をお勧め
それでは、実際に検査をお受けになるとして、内視鏡とバリウムのどちらがよいでしょうか?
もちろん、それぞれの検査に長所と短所とがあるのですが、私は内視鏡をお勧めします。
バリウム検査は、バリウムの「ノリ」の悪いところがないかどうか、レントゲンでの「影絵」を見ているのですが、内視鏡では、直接腸の粘膜を観察することができます。
ですから、あくまで確率の問題ではありますが、内視鏡の方が小さな病変の見落としが少ないと考えられます。
また、癌かどうかあやしい病変があった場合、内視鏡では生検という検査ができますが、バリウムではこれができません。
そのため、バリウムであやしいところが見つかった場合には、あらためて内視鏡をお受けになっていただくことになります。
ご高齢のお母様ですので、あまり苦しい検査はお受けになっていただきたくありません。
大腸内視鏡は楽な検査ではありませんが、慣れた先生であれば、それほど苦痛もなく、かつ安全に検査を行っていただけると考えております。
主治医の先生と相談をされた上で、検査を行うかどうかをお決めになって下さい。
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