(質問のつづき)
今までずっと血圧低下には液温を下げたり、寒いと訴える患者様には液温を 上げたりしてきたのですが、意味のないことなんでしょうか?
[回答]
ご質問をいただくのはありがたいことですが、 あなたの施設の患者様にとって「いい透析治療」のために、 透析施設のスタッフで十分に話し合っていただければと存じます。
さて、血圧低下に対して液温を下げることですが、これは経験的に 行われているのであり、きちんとしたエビデンスはないようです。
けれども、透析学会などで発表されてもいますから、多くの施設で この方法が行われていると思われます。
液温を下げると血圧が上がる理由ですが、液温を下げて、 体外循環している血液の温度を下げると、温度が低下した血液が 患者様の体内に戻り、結果として、末梢血管を収縮させて 血圧が下がりにくくなる(=上がる)と考えられています。
けれども、実際には体内に戻った血液はすぐに温められて、 もとの体温に戻ってしまいますから、「意味はないのだ」という 主張がなされるのかも知れません。
明確なエビデンスがなくても、もしその治療法がある程度有効であり、 また患者様に危害を加えないものであれば、よいのではないかと考えます。
透析温を下げて、患者様が寒がらないのであれば、低温透析は 悪くないですよね。
また、患者様の痒みが強いときに、液温を下げると痒みが若干ではあっても 軽快することがあります。
日本血液浄化研究会さんのホームページ内の 透析中の血圧低下にも低温透析が触れられていますから、よろしかったらご覧下さい。
次に、液温を上げる操作ですが、よく行われるのは 患者様が寒がっているときですよね。
これは、患者様自身が、液温を上げると寒さが楽になることを ご存じのことが多いので、血圧が下がらないのであれば、患者様の ご希望通りに、液温を上げてもよいと思います。
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