(質問のつづき)
透析での除水量が200-500mlで透析室のスタッフに管理ができていると 褒められているだけにショックは大きいようです。
[回答]
●心臓とは?
心臓について想像してみましょう。
心臓は血液を送り出すポンプの役割をしています。
形としては、簡単に筋肉でできた袋だと思ってください。
袋と言っても筋肉でできているのですから、かなり厚みのある袋です。
この袋の中には血液が入ってきます。
想像できましたか?
●心臓が肥大しているとは?
次に、心臓が肥大しているというのはどのような状態かを 説明します。
「心臓が肥大している」というときには、袋の部分の 筋肉が厚くなる(太くなる)ことを指します。
このように、心臓が肥大する原因にはいろいろとありますが、 もっとも多いのは高血圧が長く続いたための心肥大です。
もう1つ。
心臓の袋そのものが大きくなるのは 袋の中身(つまり血液)が多くなっても袋が 大きくなります。
これが、心臓に水がたまった状態です。
●レントゲンでわかること
レントゲンでは、心臓=袋の大きさを見ています。
しかし、レントゲンでは、筋肉が厚くなったのか、 中身(血液)が多くなったのかを区別することができません。
レントゲンで、どのように心臓が肥大しているのかどうかは わからないのです。
●心エコーのすすめ
では、どうすれば、できるだけ詳しく状態を知ることが できるのでしょうか。
心臓の筋肉が急に太くなる(厚くなる)ことはあまりありません。
これに対して、比較的短時間で、お体に水がたまることはあります。
ですから、たとえば先月と今月を比べて、 今月の方が心臓が大きくなっているのであれば 筋肉が厚くなったよりも、水がたまってしまった可能性が大きい。
ということになります。
もちろん、このような想像をするだけではなく、心エコーという 超音波の検査をすれば、筋肉が厚いのか水がたまっているのかを 簡単に区別することができます。
心エコーは害もないですし、お受けになる患者さんの苦痛もないです。
●心筋梗塞について
注意が必要なのは、心臓の働きが悪くなると、レントゲンで心臓が 大きく写るようになることです。
たとえば、心筋梗塞を起こすと、心臓の動きが悪くなり、 レントゲンで心臓が大きく見えるようになります。
一般的には心筋梗塞は痛みを伴いますが、 無痛性梗塞といって、痛みがないのに心筋梗塞を起こす方も いらっしゃいますので油断はできません。
心エコーのよいところは、心臓の働きが悪くなっていないか どうかもわかることです。
ですから、心臓が大きくなったときに心エコーを行うことは、 とても有用で情報の多い検査だ、ということになるのです。
●血圧について
お母様の場合、1回の透析での除水量が200-500mLとのことですから 水分についての自己管理はとてもよくできています。
血圧が高くなると、心肥大を起こしますので、血圧はきちんと 下げておく必要があります。
水分管理ができていても、設定している体重(ドライウェイトというところが 多いです)が適切でないと、心臓が大きくなります。
この場合には、ドライウェイトを下げさせていただきます。
このように、心臓が大きくなる原因は様々です。
また、原因によっても、対処方法が異なります。
主治医の先生に十分な相談をなさってみてください。
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