(質問のつづき)
父は今でも尿がよく出るようで透析後でも1回200ml位出るそうです。このようなことはありますか?
[回答]
●オシッコがでる方もいらっしゃいます
腎臓のはたらきが悪くなって、透析治療が必要な腎不全となってしまった場合、 治療方法として血液透析をお受けになっていると、オシッコの量が 減ってくることはご質問にあるとおりです。
いずれは、全くオシッコが出なくなってしまいます。
この、オシッコの量が減る、あるいはオシッコが出なくなるまでの期間ですが、 腎臓が悪くなったもとの病気によって、かなりの差があります。
糖尿病がもとで腎臓が悪くなった方の場合は、オシッコがかなり早い時期から 減ってしまいます。
反対に、嚢胞腎という病気や、お父様のように高血圧から腎臓が悪くなった方の 場合には、比較的長い間オシッコがきちんと出ることが多いのです。
それにしても、透析をはじめられて7年でオシッコの量がきちんと出ているというのは 素晴らしいことで、治療がうまくいっていること、 お父様の自己管理がしっかりされていることの証拠とも言えると思います。
●オシッコが出れば腎臓は悪くない?
さて、オシッコの量が確保されているのだから、腎臓の働きも悪くないのか、 と言えばそうではありません。
腎臓の働きのなかで一番大事なのはオシッコを作ることですが、 そのオシッコの中に体から出てくる老廃物(=尿毒素)を捨てなければいけません。
オシッコが出ていても、その中に尿毒素が捨てられずに、結果として血液の中に 尿毒素がたまってしまう状態が腎不全なのです。
おそらくお父様の場合も、オシッコはきちんと出ていても、 血液の中の尿毒素は減らないために(血液の検査で確かめることができます)、 透析治療が必要な状態なのだと思われます。
ですから、オシッコが出ているからといって血液透析を やめられるわけではないのです。
透析が必要な方の腎臓の働き(尿毒素をオシッコの中に捨てる能力)は、 正常の10%以下となっています。
透析をお受けになって7年が経過しているお父様の腎臓の働きは、 正常な腎機能の10%以下(おそらく3-5%程度)となっているものと 推測されます。
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