[回答]
● 関節の痛みについて
透析治療をお受けになっている方は骨や関節が痛むことがあり、 そのためにいろいろなところに痛みが出ることはめずらしくありません。
ただし、このような症状が出るのは長期に透析治療をされている方が多く、 透析2年目で、骨・関節障害が出現することは可能性としては 少ないと思います。
きちんとした診断と治療は、整形外科の先生に診ていただくことが 一番だと思います。
● 接骨院でお受けになった説明について
この接骨院での説明が私には理解できません。
まず、どのような検査をして「カルシウムが溶け出している」と いうことがわかったのでしょうか?
そして、なぜその溶け出しているカルシウムが、 「シップを貼っていれば治る」のでしょうか?
私が知る限り、シップでカルシウムが溶けているのを 防ぐことはできません。
お会いしたこともない接骨院の方をとやかく言うことは、 あまりいいことではありませんが、説明に疑問が残ります。
● 骨とカルシウムについて
骨とカルシウムについてご説明させていただきます。
骨はカルシウムでできています。
そして、このカルシウムが血液の中に溶け出したり、反対に血液の中の カルシウムが骨にくっついたりして、骨が丈夫になったり 弱くなったりするのです。
透析治療をお受けになっている方では、骨のカルシウムが血液中に 溶け出しやすい状態になっていますから、その評価と対策は重要です。
リンが高い方、カルシウムが低い方、副甲状腺ホルモンが高い方は カルシウムが溶け出しやすいので、要注意です。
また、現在骨が溶け出しているのかどうかは、アルカリフォスファターゼ、 骨型アルカリフォスファターゼ、オステオカルシンなどといった、 血液の検査である程度予想ができます。
ですから、このような骨の評価は接骨院ではなく、 透析医がするべきです。
上に揚げた検査は、定期的に行われているはずですので、 その結果がどうなのか、主治医の先生や透析室のスタッフに お聞きになってみることをお勧めします。
また、骨密度といって、どのくらい骨がしっかりしているかの検査もあります。 この検査は、透析施設によって行われているところと、 行われていないところがあるようです。
もし、通われている透析施設で骨密度が測れないようでしたら、 お近くの総合病院での検査をお受けになってみてもよろしいかと考えます。
● 予防について
予防ですが、上に書きましたように、カルシウムとリンのコントロールが なんといっても重要です。
また、副甲状腺が高くならないように、適切な量のビタミンDも必要です。
ご自身のデータをご覧になって、これらの値が指示されている範囲に 入っているかどうかを確かめてみてください。
適度な運動が、骨からのカルシウムの溶出を防いでくれることが わかっていますので、痛みがないときには散歩などを積極的に されるのもいいことです。
激しい運動は必要ありませんので、息切れがしない程度の、 散歩やストレッチを試してみてください。
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