[回答]
タンパク質の摂取は、リンの制限と大きく関係しています。
まず、リンの制限についてお話ししましょう。
リンの値を十分に下げておくことは、骨をまもるためにとても重要なことです。
一般的には6.0以下を目標としていますが、実はこれでは 不十分であり、5.0以下あるいは4.5を目標とすることを 主張する先生たちもいらっしゃいます。
実際にこの意見は主流となりつつありますから、近い将来には リンの目標値は下げられる可能性が大きいと思います。
そこで食事からのリン摂取を減らそう、ということになります。
さて、タンパク質との関係です。
リンはほとんどの食品に含まれていますが、 その中でも乳製品・魚介類などに多く含まれています。
つまりタンパク質を多く摂ると、リンも多くなってしまうのです。
魚類をなるべく少なくして、肉類にするだけでもリンはかなり違いますが、 それでも、肉にもリンが含まれています。
植物性タンパク質である豆類にもリンが多いですね。
ですから、リン制限をするとどうしてもタンパク質が不足しがちに なってしまうのです。
そこで実際的なのは、まず加工食品(ハムやかまぼこなどの練り製品)を 極力減らしてもらいます。
次に上に述べましたように、魚を肉に変更してもらいます。
それでもリンが下がらなければ、炭酸カルシウムやレナジェルといった クスリで下げるのが現実的なのではないでしょうか。
施設によっては、治療用の低リン食品を積極的に勧めているところもあります。
低リンミルクや低リンごはん、低リンハンバーグなどがありますね。
けれども、これらの食品は比較的高価であり、またおいしくありません。
高くておいしくない食事では、長続きさせることは難しいですよね。
ですから、私たちの施設ではこういった治療用食品は、あまりお勧めしておりません。
もちろん、使ってはいけない、というわけではありません。
リンで悩まれる方は多いのですが、決定的な食事療法は 残念ながらありません。
先ほどの繰り返しになりますが、クスリも上手に使いながら リンを下げていくのがいい方法であると思います。
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