[回答]
透析をお受けになっている方に血管(特に動脈)の石灰化がよく生じます。
また、心臓ですが、心臓の筋肉に石灰化が生じることが ありますし、心臓に酸素や栄養分を運ぶ冠動脈という 血管に石灰化が生じることがあります。
心臓の筋肉に石灰化が生じると、心臓の動きが悪くなってしまいます。
また、冠動脈の石灰化は、心臓に酸素が行きにくくなるので、 狭心症や心筋梗塞といった重大な病気の誘因となりうる状態です。
ですから、どちらにしても、石灰化が起きてしまうことは 好ましくないわけです。
こうした異所性の石灰化は、カルシウムとリンの値を 掛け合わせた数値が大きくなると起きやすいことが知られています。
具体的には、カルシウム×リンの値が70を超えるといけない。 と言われています。
例えば、カルシウムが9.5、リンが7.5の場合は カルシウム×リンは71.25となって、70を超えてしまうのですね。
カルシウムを下げすぎると、骨が悪くなってしまいますから、 カルシウム×リンの値を下げるためには、リンの値を下げることが大切です。
石灰化が治るか?ということですが、現在のところ 決定的な治療法はわかっておりません。
しかし、カルシトニンというクスリ(注射薬)が、異所性の石灰化に有効である。 という報告がありますので、これを使用している施設もあります。
また、先月の2003年6月26日に発売された、塩酸セベラマー というクスリは、カルシウムの値を上げることなく、リンの値を 下げてくれる効果を持っています。
このクスリを上手に使うことによって、カルシウム×リンの 値を、これまでよりもずっと下げることが可能になるはずです。
これまでは、カルシウム×リンの目標値は60以下だったのですが、 これを45とか40という値まで、下げることができるようになるかも知れません。
そうすることによって、異所性の石灰化が多少なりとも とれてきてくれるか、そこまで行かなくても、これ以上悪化させない ようにできるのか、この新しく発売された薬剤にも期待が集まっています。
カルシトニンや塩酸セベラマーというクスリを使った方がいいかどうかは、 主治医の先生とよく相談して、決めていただきたいと存じます。
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