[回答]
やせることが心配ないことなのか?心配しなければいけないことなのか?は 患者さんによりますので、一般的なお話しとしては回答できません。
ここでは、「やせる」「太る」についてお話しましょう。
まず、透析をなさっている方は、やせてしまう傾向があることは確かです。
透析をお受けになっている方の体重(ドライウェイトと呼ぶところが多い) をいくつにするかというのは、とても難しい問題です。
患者さんにとって、大切なことは、心臓に負担をかけないことです。
そのためには、体の中に余分な水を残さないことです (だから「ドライ」などという言葉が使われるのですね)。
体は、主に水分とお肉と骨でできています。
透析で「体重を下げた方がいい」ということがある場合は、 「お肉を落としなさい」ということではなくて、 「水分を取り除いた方がいい」ということなのです。
透析で、体重を下げていっても、お肉がとれてしまうわけでは ありませんよね。除水といって、水分を取り除いているのです。
それでは、やせないためには、どうしたらよいでしょうか? 簡単にいうと、お肉は筋肉でもぜい肉でも構いません。
とにかく、水分以外でお太りになればいいのです。
ところが、これが難しいのです。
腎臓の悪くない人間は、食べるものを食べて、ゴロゴロしていれば あっという間に太ってきてしまいます。
けれども、透析を受けていらっしゃる方たちは、ただ食べて ゴロゴロしていても太りにくいことがわかっています。
食べるだけではなく、適度な運動をすることが必要です。
もちろん、運動の方法や量は、主治医の方と相談のうえ 決めなければいけません。
多くの運動をしてはいけない場合があるので注意が必要です。
私は、とにかく大変でも、少しでもいいから体を動かしてほしい、 1時間なんてとても無理ならば、せめて10分でも20分でも 外に出歩いてほしい、さらにがんばって食事を食べてほしい、と 患者さんたちにお話しをしています。
それでも、多くの患者さんたちは、先ほど述べた悪循環に はまってしまって、次第にやせてきてしまうことが多いのです。
透析医以外の医者から見ると、やせてくる患者さんを診て これはどこか間違った治療をしているのではないか?と 疑問を持たれることも、少なくありません。
もちろん、患者さんがおやせになってしまうのは、患者さんご自身ではなく われわれ透析医にも責任があるのですから、患者さんやご家族に対しては 申し訳ないことです。
しかし、上述したように、「これさえやっておけばやせません」という 確実な治療法はないのが現状です。
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