[回答]
透析をお受けになっている患者さんに視力・聴力・味覚といった感覚器の障害は 時々みられます。
ただし、いずれの症状にしても、すべてを透析のせいにしてしまうのではなく、 別の病気が隠れていないか、それに対していい治療法がないかどうか、 眼科や耳鼻科を専門にしている先生に診てもらうことが重要だと考えます。
ぜひ診察をしていただいてください。
●視力の低下について
視力の低下が、透析患者さんに特有の症状かといえば、 それは違うような気がします。
視力障害の原因としては、白内障・緑内障・ 眼底出血・網膜剥離などといった目の病気がありますが、 これらの病気は、透析を受けていない人たちにもみられるものです。
腎臓を悪くされた原因が糖尿病の方たちには、上記の目の病気が しばしば合併し、視力の障害が問題になることが多いのですが、 糖尿病でない方にこれらの視力低下が多いという印象は持っておりません。
●耳鳴りについて
これはとても難しい症状です。
透析をお受けになっているかいないかの関係なく、多くの耳鳴りは 原因がよくわからず、また、有効な治療法もないことが多いのです。
手元の文献を調べてみましたが、透析患者さんに耳鳴りが多い、 というものは見つかりませんでした。
私がこれまで診てきた印象でも、透析患者さん耳鳴りが多いという感じはしません。 ただ、耳鳴りとは異なりますが、「耳閉感」といって、トンネルに入った時に よく経験する「耳が詰まる感じ」は透析をお受けになって、たくさん除水をすると 起きることがしばしばあります。
このような場合には、透析と透析の間の体重増加を極力少なくする (つまり水分制限ですね)か、可能であればドライウェイトをあげることによって 対処することが可能です。
●口内の苦味の感覚が抜けない
これは透析患者さんによくみられる合併症です。
おそらく尿毒素が悪影響をおよぼしていると考えられますので、 透析効率を強化し、十分に毒素を除去するようにしますが、 これでも口の中の苦みがとれない方がたくさんいらっしゃいます。
亜鉛不足が味覚障害の原因となることが知られていますので、 亜鉛の補給をすることがありますが、これも無効であることが珍しくありません。
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