透析Q&A

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Q405.

先生から1日の尿量は600mlですと説明を受けました。健常者の尿量は500ml〜2000mlとネットにはかかれています。そして、乏尿は400ml以下を示すようですが、この状態になると溶質の排泄が不十分になり、血中に溶質が蓄積した状態になり、高窒素血症になるとのこと。溶質を排泄できる尿量であること、尿量も乏尿というほどではないことを考えると、なぜ透析が必要なんだろう?と思っています。更に利尿薬を増やして尿量を増やしながら透析を行っている意味もあるのでしょうか?とても不思議です。尿量を指標とした場合、どの程度心臓機能が低下していたりするものでしょうか?

●お調べになったネットの説明はかなり不完全

まず、お調べになったネットの説明はかなり不完全です。

この説明だけを読むと、尿が出ていれば高窒素血症(つまり、尿毒素が蓄積している状態ですね)にはならないような印象を受けます。

けれども、腎臓が悪くなってくる段階で、多くの方は乏尿になる前に高窒素血症になります。

保存期の腎不全(透析が必要になる前で、腎臓が悪い状態)では、血液の中に尿素窒素やクレアチニンといった、本来であれば腎臓から尿に捨てられる物質が溜まってきます。

ですから、血液検査をして、これらの物質が正常値よりも高くなってくると腎臓が悪くなってきた、と判断するのです。

このときに、尿の量が減っている場合と減っていない場合があり、上に書きましたが、尿は減っていないけれど、クレアチニンが高くなる方が多いくらいなのです。

腎臓の働きの中で一番大切なのは、尿を作ることです。
尿を作って、その中に老廃物=尿毒素を捨てることが腎臓の大事な仕事です。
腎臓が悪くなると、尿の量は出ているのに、その中に老廃物を溶かすことができにくくなるのです。

このことから、透析治療(血液透析と腹膜透析)を開始する時には尿は一日1000mL以上出ているとも、決して珍しくありません。

それでも透析を行う必要があるのは、血液中に老廃物が蓄積してしまい、それが生命を脅かすまでになってしまったからなのです(おそらく、透析を始められる際にも、血液検査の結果などと一緒に、このような説明があったものと推測をいたします)。

●尿の量と乏尿について

さて、次に尿の量について説明をいたします。

腎機能が正常な場合、尿の量は飲んだ水分の量によって変動します。
たくさん水分を摂れば尿の量が増えますし、たくさん汗をかいたりして体が脱水気味になれば尿の量が減ってくることは、ご経験なさったことがあると思います。

ネットでお調べになったように、一日の尿の量が400mLを下回ると「乏尿」と呼びます。これは、明らかに病的な状態です。
ですが、現在の一日600mLという尿の量は十分か、というと、やはりそれは少ないと思われます。

どうしてそのように言えるかというと、標準的には尿の量は1000から1500mLのことが多いからです。

上に書きましたが、尿の量は飲んだり食べたりした水分や汗や便になって出て行った水分によって、かなり変動します。

あまりお食べにならなかったり、水分を飲まなかったりすれば尿の量は600mLでよいのかも知れませんが、普通に飲んだり食べたりすれば、1000mLは出るであろうと推測されるのです。

●尿の量の測定方法

これをきちんと測定するためには、次のようなことをします。
まず、体重を毎日測定します。
一日や二日で、大きく太ったり痩せたりすることはありませんから、体重が変動すれば、それはお体の中にある水分量の変動と考えることができます。
次に、尿の量と腹膜透析で除去された水分の量を足し合わせます。

例をあげてみます。
腹膜透析での除水量がゼロで、尿が600mL、体重は昨日と変化がなかったとすれば、飲んだり食べたりした分と、尿の量が釣り合っているということになりますから、この尿の量で十分だということになります。

腹膜透析の除水量が300mLで、尿は600mL、体重は昨日と変化がなかったとすると、本来であれば900mLの尿が出てほしかったのですが、尿は600mLですから、腹膜透析で残りの300mLを除水する必要があったことになります。

腹膜透析の除水量がゼロで、尿が600mL、体重が、昨日にくらべて、0.5kg増えたとします。
この0.5kgは水分と考えますので、本来であれば1100mLの尿が出てほしかったのに600mLしか出なかったため、お体に0.5kgの水分が溜まってしまったと推測できます。

これを毎日続けていくのです。

担当されている主治医の先生や、PDナースと呼ばれる腹膜透析を専門にする看護師は、こういったデータをみながら尿の量が十分なのか、利尿剤を増やす方がよいのか、判断をしていきます。

こういったデータは重要なことですから、PDナースにお尋ねになればすぐに教えてもらえると思います。

●心臓の働きと検査方法

確かに腎臓の働きが悪くなると、心臓の働きが低下することが多いのですが、これは尿量だけに影響されるのではありません。

上に書いた、尿毒素が溜まればそれが心臓に悪影響を及ぼしますし、カリウムが蓄積すれば、やはり心臓に大きな影響があります。
腎臓が悪くなると、多くの方が貧血になり、その貧血が心臓に影響します。

ということになると、尿の量から心臓の機能が低下しているのかどうかを推測することはとても困難なことになります。

だとすると、推定するよりもきちんと心臓の働きを直接きちんとチェックする方が大切で、これには心エコー(超音波検査)がよく使われます。

心エコーは検査をお受けになる苦痛がほとんどなく、ベッドサイドでも行うことができる検査ですので、既にお受けになっている(あるいは、近々お受けになる予定になっている)ものと思われます。

こういった検査の結果も、お身体の様子をしるための大切な情報となりますので、主治医の先生にお尋ねになってみてください。


[回答日 2015/7/27]

 

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